現代の魔女

現代の魔女
現代の魔女

熟年女性がタロットカードを手に中年男性になにやらささやいています。慎重にカードをシャッフルし、カードをめくり、ときどき男性の手に触れながらその意味を耳元でささやいています。夫婦ではなさそうです。

どんなアドバイスをしているのかはわかりませんが、男性はとても熱心に聞いています。時々照れ笑いをしているところみると、なにか本人しか知らいないような秘密を彼女が言い当てたのかもしれません。

そうか、これは「出張占い」かなとおもってしばらくながめていると、最後に彼女がカバンからとり出したのは生命保険のパンフレットでした。

山のあなた

北陸の霊峰白山
北陸の霊峰白山

「山のあなたの空遠く幸い住むと人は言う…」梅雨明け間じかになるとこのカール・ブッセの詩を思い出します。中学校のとき、夏休みのワークブックに蓼科高原の写真といっしょにこの詩が掲載されていました。

今日のスケッチは夏真っ盛りの白山(2702m)を中腹から見上げたものです。白山は山岳信仰のメッカでもあり、お花畑のみごとな北陸を代表する霊峰です。

火山の猛々しさと残雪、緑のハイマツそして入道雲のコントラストがたまりません。空と稜線の境目をえんぴつで追っかけているとその向こうにはなにか幸せがありそうな気がしてきます。

だいぶたってからカール・ブッセの詩の後半を知りました。

噫(ああ)、われひとゝ尋(と)めゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸」(さいはひ)住むと人のいふ。

山の向こうには何かいいものがあるかと思ったらどうもそうではないようです。人のいったことをあてにしていたらロクなことないよということでしょう。そうはいってもやっぱり稜線の向こうにはなにかありそうです!

大宰府天満宮

大宰府天満宮
大宰府天満宮

天神様でおなじみの太宰府天満宮。早朝に参拝に訪れてみるとすがすがしい空気で満ちています。小学生の男の子がお父さんといっしょに日課の参拝でしょうか「おはようございます!」と見ず知らずのわたしたちにあいさつしてきます。思わず感心してしまいました。

今から40年以上前、千葉の田舎では夏休みに「テンジンコ」という行事がありました。近所の神社に小学生だけが集まって勉強をします。参加する子どもはお米を1合持参し当番の子の家に預けておくのが習わしです。

神社のとなりの小さな公民館の座敷で勉強やふざけっこをしているとお昼のサイレンが聞こえてきます。お米を預けておいた家に行くと、広間に座敷テーブルが準備してあり、そこには人数分のカレーライスが並んでいます。朝もってきたお米がカレーに変身しています。

お昼を食べた後はひたすら遊びます。夜には肝試しや花火と勉強の記憶はほとんどありません。だいぶ後になってこの「テンジンコ」といっていた行事は「天神講(てんじんこう)」であることを知ります。学問の神様にあやかっての子どもたちだけの夏の小さなお祭りです。いまでもこの行事は残っているのでしょうか?気になります。

まちぼうけ

まちぼうけ
まちぼうけ

一心にスマホの画面をみつめています。だれかからのLINEをまっているのでしょうか?素敵なジャケットとキューティクルのきれいな髪の毛が魅力的でした。

砧公園

お父さんが買ってくれた焼きそばを食べる
お父さんが買ってくれた焼きそばを食べる

世田谷の砧公園はいごこちのいい公園の一つです。終戦後すぐは米軍のゴルフ場でしたが、いまでは東京都が管理する公園です。売店では焼きそばやスナック、ビール、シャボン玉を買うことができます。

小さなこどもがいる家族にとってお金がかからず上質な休日をすごすことができる場所でもあります。美術館と広い芝生のひろば、小学生になったらちょっと遊ぶのがはずかしい海賊船のジャングルジムなどで楽しめます。

売店脇のテーブルに座っているといろん人たちをみることができます。上の少女はお父さんに買ってもらったやきそばをおいしそうに食べていました。

朝の誓い

強い意志をココロにいざ出勤
強い意志をココロにいざ出勤

通勤時間に下り電車に乗ると普段とは違った風景に出会います。

目の前の男性はメロンパンをゆっくりと口に運び静かに遠くを見つめて噛みしめています。荘厳な儀式を見ているようです。出勤前のひととき、電車の中でなにか覚悟でも決めたのかもしれません。

となりの女学生は単語帳を熱心に予習していました。得意な単語が今日のテスト範囲なのでしょうか、となりのおじさんと違いちょっと微笑んでいました。

武甲山

日本200名山の武甲山
日本200名山の武甲山

このスケッチは秩父神社のご神体、武甲山(ぶこうさん)の姿です。去年の今頃描いた絵ですが、今から35年以上前の中学生の時には油絵で描いた記憶があります。孤高の山容は絵の格好の題材です。

秩父セメントが石灰岩を採掘するので武甲山は年々低くなってゆき痛々しい限りです。日本の近代化をまさに身を削ってを支えた山です。

秩父神社を訪れてみると、なぜか若者の参拝者が目立ちます。絵馬もアニメのキャラクター。なんでも秩父神社界隈がアニメ「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」の舞台だったことからファンの人たちの聖地となってしまったそうです。

「命を吹き込む」というのがアニメの語源。ご神体である武甲山のセメントでできた都市に育った子どもたちがアニメで再発見された秩父を聖地として訪れる。うーん秩父の神々は偉大です。

 

ご来光

常念岳と雲海
常念岳と雲海

日本人はご来光が大好きです。以前イギリス人とインドネシア人の友人を連れて富士山に登ったとき、その目的が「ご来光を拝むこと」だということをだれも理解できませんでした。夜中に雨と霧のなか懐中電灯をてらしながらの富士登山、ぜんぜん楽しくありません。

9合目を過ぎ雲の上に出ると、突然満天の星空が広がり、東の空にオレンジ色の光が満ちてきます。しばらくすると雲海から朝日が静かに昇りはじめます。友人たちはその光景にしばらく呆然と見とれています。そしてなぜ富士山に登るのかその意味をなんとなく理解したようです。

このスケッチは北アルプス穂高岳山荘(長野県2983m)から常念岳をバックに朝日が昇る直前の様子を描いたものです。刻々と空の色は変化していきます。

365日毎日繰り返されているのですが山の上からの日の出はとても荘厳な気持ちになります。日本人のご来光好きが、もとは修験道などの古代の山岳信仰と太陽神アマテラス崇拝がその根っこにあるという認識は最近までまったくありませんでした。。。なるほど日本は太陽神と女神信仰の国だったんですね。

天狗ノ頭より奥穂高を望む

天狗岳より奥穂高を望む
天狗岳より奥穂高を望む

山の上で梅雨が明ける瞬間に遭遇したことがあります。10年ほど前の7月下旬、噴気をあげている焼岳(やけだけ)から穂高岳(ほたかだけ)を目指して雨のなか尾根を歩いていると突然目の前の霧が晴れて巨大な岩の塊が現れました。奥穂高岳(3190m)です。

梅雨前線のなまぬるい空気の塊が目の前を通り過ぎ、それまで霧で真っ白だった景色が突然晴れ渡り視界が開けます。いきなり現れた山容の神々しさにドキドキしながらスケッチしました。

水性のフェルトペンがいい感じににじんで梅雨明けの空気感をかもしだしています。じつはこの水性ペン登山道に新品の状態で落ちていたものを拝借しています。どなたか落としたのかわかりませんが、おかげさまでとても思い出深い作品となりました。

 

プロジェクトG

Project G
Project G

イラストは写真と違ってとても自由に思い出を記録することができます。上の集合図は約10年間日本とイギリスのチームで数理統計モデルをビジネスにした仲間です。渋谷の大衆居酒屋「千両」での場面。イギリスのひとたちと仕事をしたことによって日本を再発見することができ、とてもいい思い出になりました。

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プロジェクト J

こちらの集合図はその5年前にケータイ電話向けナビゲーションシステムを構築した仲間です。毎年集まって飲み会をします。あんこうなべで有名な佃島の「ほていさん」でのシーンです。当時三十代の仲間たちが国内初のシステムを構築しました。

みんなけっこうおっさん、おばさんですが絵の中では常若です。お酒の席では絵を描いていると飲み過ぎなくてすみますので健康的です。