明治神宮は古墳をイメージした森

ベストセラー作家の奥野宣行さん
ベストセラー作家の奥野宣之さん

ベストセラー作家と出版エージェントと編集者とのコラボレーションで生まれた「図書館超活用術」を事例に、出版企画の立て方講座が大阪で開催されました。奥野さんはべストセラー作品「情報は一冊のノートにまとめなさい」(Nanaブックス 32万部累計50万部)で知的生産術の再発見と定義で注目される堺市在住の人気作家です。

セミナー参加者はご自身の作品や著作のすでにある人やブロガーなど表現を実践しているひと、これから表現してそれを生業にしようというみなさんの集まりです。

講師と参加者との懇親会
懇親会の様子

奥野さんのデビュー作のテーマが「知的生産とノート」のご縁でしょうか、セミナーで隣の席だったみやさんはかわいいイラストとマインドマップ(木の根っこのような線とキーワードで記録する方法)で記録をとっています!

ファイナンシャルプランナーの荒木さんnoteというプラットフォームを使った金融資産運用ブログを執筆しています。

奈良市にお住まいの出雲さんは「いずパパCafe~旅と文具と~」で知的武装品としてのメモ帳、ノート、筆記具のノウハウを紹介しています。

あらためて「情報は一冊のノートにまとめなさい」を読み返していたら奥野さんのノートに書き込んだ事例に「書評:明治神宮は古墳をイメージした森」という一文が載っていました。

このブログで以前書いた奈良県の大神神社のご神体の三輪山、諏訪大社の御神体である守屋山、和歌山県の花窟神社(はなのいわやじんじゃ)、クスやシイなどの常緑広葉樹で覆われたなだらな稜線は古代の日本人にとって聖別される形だったのではという感覚がずっとあったのですが….

「明治神宮は古墳をイメージした森」でググってみたところ「森林ジャーナリストの思いつきブログ」に「本多静六と明治神宮」という記事を見つけました。

以下引用、「明治神宮を創設する際の鎮守の森づくりを依頼された本多は、期待された杉並木の荘厳な森を覆して、照葉樹林の森を企画する。仁徳天皇陵のような古墳に繁る森をイメージしたとされる。」

そういえば奥野さんのお住まいは仁徳天皇陵のある堺市。3年ほど前に訪れたとき御陵の鳥居の前でボランティアのおじさんが見学にきていたおとうさんと小学生のむすこに「民のかまど」の話をしていました。

仁徳天皇陵を鳥居のある正面からみると、そのなだらかな稜線が三輪山、守屋山とかさなる形であったのは単なる偶然ではないのだなあと確信するきっかけになったセミナーでした。

 

 

 

去年は寒かった?

御岳山ケーブルカーを待つひとたち
御岳山ケーブルカーを待つひとたち

ならんでいる人たちを見ていると飽きません。たまたま居合わせたたげなのでしょうけれど、同じ空間と時間をしばしの間共有することになります。

こちらは、東京都の御岳山のケーブルカーを待つ人たちの様です。ワンちゃんを連れているひともいます。このブログのバナーにもなっている絵です。このとき参拝した御岳神社の参道にあるおそばやさんのおばあちゃんをスケッチしています。

新春の社内
新春の社内

こちらは新春の電車の社内。昨年の一月のスケッチです。あったかそうな手袋をしています。今年は暖冬で手袋がいらない日が続きます。去年は寒かったんですねえ。

クリスマスチキンと太陽神

今年のクリスマスチキンはグレービーソースと3日もレモンを詰め込んで下ごしらえをした霧島鶏がとてもいい感じに仕上がりました。デザートの手作りジンジャーブレッドもしっとりとしてよい出来です。

日本では明日の25日を境にお正月の装いに早代わりですが、キリスト教の国々ではクリスマスツリーはお正月の門松のように新年まで飾っています。

冬至の日を境に昼間の時間がだんだんと長くなります。冬至は太陽の復活、命の再生を祝うもので古代に人々にとってはマツもモミの木も常緑樹は春(生命)を象徴するもです。クリスマスとお正月をつづけてお祝いすることになんの矛盾もありません!

ところで、冬至の日は伊勢神宮内宮(いせじんぐうないぐう)にある宇治橋の大鳥居の真ん中から朝日が昇ります(YouTubeでの映像はこちら)。伊勢神宮のご祭神はアマテラスオオミカミつまり太陽神です。

古代エジプトのファラオが建立したアブシンベル神殿も冬至の日に神殿の一番奥のラムセス二世の顔を照らすように設計されています。ラムセスとは「ラー(太陽神)から生まれしもの」という意味です。

エジプトでは古代の神殿は観光地となってしまいましたが、日本の古代からつづく聖地は観光地だけではなく神事が絶え間なく行われる生きた「場」だということは外国のひとに自慢できるおはなしです。

 

 

 

 

お伊勢参りの旅は道連れ…

旅は道連れ
JR紀勢線の社内

来年は伊勢志摩サミットが開催されます。世界中の人たちが日本の聖地に注目することでしょう。

こちらのスケッチは今年の夏にJR紀勢線に乗ったときのもの。名古屋からいつもは近鉄線に乗るのですが今回はJRを利用。空は快晴で入道雲がまぶしく、稲穂も輝いています。

2両編成のローカル線の席は満席。乗っている人たちはみなお伊勢参りの仲間のように感じてしまいます。昨年の式年遷宮(しきねんせんぐう)のときは過去最高の参拝者で外宮(げぐう)と内宮(ないぐう)あわせて1000万人を超えたそうです。遷宮の後に参拝したときは新しいお宮のヒノキの香りで境内はすがすがしい空気で満ちていました。

目の前の席に座っているお二人はおばあちゃんとお孫さんでしょうか。おばあちゃんが話しかけるとお孫さんは実に立派に受け答えしています。パリッとした白いシャツを着た女の子におばあちゃんがアメちゃんを渡すとおいしいそうにほおばります。おばあちゃんもとってもうれしそうです。見ているこちらまでもが幸せになってしますような光景です。

名古屋を出てから一時間ほどたったでしょうか。女の子はさよならといって電車を降りてしまいました。おばあちゃんもニコニコ会釈をして、あとはなにごともなかったように車窓をながめています。こちらはてっきりお孫さんとの旅かとおもっていたらどうやら赤の他人同士だったようです。

 

ハロウィンと聖者

HappyHalloween2015
HappyHalloween2015

街で見かけたコスプレ女子友。ほほにはhappy halloweenとペイントしています。二人ともおそろいのコスチュームで、一人はキラキラした猫耳をつけています。

20年前までは英語学校の児童たちや都内に住む欧米人が楽しむお祭りでしたがいつのまにかコスプレ大好きなひとたちにも伝染したみたいです。もともとケルト人の収穫を祝うお祭りだったのが、後にキリスト教のお祭りに変容してゆきます。

日本でなぜ盛んになってきたかについてwikiでは東京ディズニーランドの影響を指摘しています。

ところで、日本の伝統的な収穫祭は皇室行事のなかでもっとも大切な「新嘗際(にいなめさい)」(11月23日)です。敗戦後は皇室行事色をなくすために勤労感謝の日という名前に改められていますが、毎年勅使が伊勢神宮に遣わされています。

StBrothers2015次の日に電車に乗るとまるでイエスさまとそのお弟子さんたちのような若者を目撃しました。両脇の男性は立派なひげを生やしています。真ん中の女性はマグダラのマリヤかもしれません。スマホをいじっていました。3人ともおそらく赤の他人だと思いますがハロウィンの季節がら聖人が目の前に現れたのかなと思いました。

 

 

 

 

 

 

舞台女優と特攻隊

女優 石神悠紀
女優 石神悠紀さん

写真の美女は女優さんです。知り合いの方から紹介してもらったバー(Bar Hsegawa Style)のカウンターで遭遇しました。

彼女は10月7日-12日は『MOTHER~特攻の母 鳥濱トメ物語~』で特攻隊の妻役として出演しています。鹿児島県にあった陸軍航空隊の基地(知覧:ちらん)にあった実話をもとにした舞台です。彼女も知覧を数回訪れたことがあるそうです。

小生も知覧にいったことがあります。かつての基地は知覧特攻平和会館と公園として整備されています。そこへと向かう緩やかな坂道を車で上ってゆくと航空服の若者の胸像が刻まれた灯篭がずっと続きます。

これから自分たちが訪問しようとしているところは観光地や博物館などではなく鎮魂と慰霊の場所であることを悟ります。

会館の入り口には天女に抱えられ燃える隼戦闘機から昇天する若いパイロットの壁画が眼に入ります。そして、多くの若い女性と親子連れで館内はしずかな熱気で満ちています。その光景はとても衝撃的です。

会館の敷地内には小さな護国神社がありボランティアの青年たちが掃き清めていました。現在、知覧に展示されている遺書などをユネスコの世界記憶遺産に登録するための活動がすすめられているそうです。

ちい散歩

御岳神社参道のそば屋
御岳神社参道のそば屋

東京都にも山岳信仰のメッカがあります。御岳山(みたけさん:929m)はケーブルカーもあって手軽に低山ハイキングが楽しめる山です。

山頂付近には、おそばやさんやおみやげ物屋さんがありちょっとした天空に浮かぶ集落になっています。写真のおばちゃんは御岳山神社の参道にある宝本店の女将さん。このお店はテレビの「ちい散歩」でも紹介されています。

残雪ののこる早春に御岳山神社を参拝したときにちょっと寄り道。今はなき地井さんもスケッチをした場所でおばあちゃんの似顔絵を描いたところ、お礼に生わさびをいただきました。わさびは御岳山の名物です。家に帰ってお茶漬けにしたら、香ばしくほのかにあまいわさび味を楽しむことができました。

山のあなた

北陸の霊峰白山
北陸の霊峰白山

「山のあなたの空遠く幸い住むと人は言う…」梅雨明け間じかになるとこのカール・ブッセの詩を思い出します。中学校のとき、夏休みのワークブックに蓼科高原の写真といっしょにこの詩が掲載されていました。

今日のスケッチは夏真っ盛りの白山(2702m)を中腹から見上げたものです。白山は山岳信仰のメッカでもあり、お花畑のみごとな北陸を代表する霊峰です。

火山の猛々しさと残雪、緑のハイマツそして入道雲のコントラストがたまりません。空と稜線の境目をえんぴつで追っかけているとその向こうにはなにか幸せがありそうな気がしてきます。

だいぶたってからカール・ブッセの詩の後半を知りました。

噫(ああ)、われひとゝ尋(と)めゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸」(さいはひ)住むと人のいふ。

山の向こうには何かいいものがあるかと思ったらどうもそうではないようです。人のいったことをあてにしていたらロクなことないよということでしょう。そうはいってもやっぱり稜線の向こうにはなにかありそうです!

大宰府天満宮

大宰府天満宮
大宰府天満宮

天神様でおなじみの太宰府天満宮。早朝に参拝に訪れてみるとすがすがしい空気で満ちています。小学生の男の子がお父さんといっしょに日課の参拝でしょうか「おはようございます!」と見ず知らずのわたしたちにあいさつしてきます。思わず感心してしまいました。

今から40年以上前、千葉の田舎では夏休みに「テンジンコ」という行事がありました。近所の神社に小学生だけが集まって勉強をします。参加する子どもはお米を1合持参し当番の子の家に預けておくのが習わしです。

神社のとなりの小さな公民館の座敷で勉強やふざけっこをしているとお昼のサイレンが聞こえてきます。お米を預けておいた家に行くと、広間に座敷テーブルが準備してあり、そこには人数分のカレーライスが並んでいます。朝もってきたお米がカレーに変身しています。

お昼を食べた後はひたすら遊びます。夜には肝試しや花火と勉強の記憶はほとんどありません。だいぶ後になってこの「テンジンコ」といっていた行事は「天神講(てんじんこう)」であることを知ります。学問の神様にあやかっての子どもたちだけの夏の小さなお祭りです。いまでもこの行事は残っているのでしょうか?気になります。

ご来光

常念岳と雲海
常念岳と雲海

日本人はご来光が大好きです。以前イギリス人とインドネシア人の友人を連れて富士山に登ったとき、その目的が「ご来光を拝むこと」だということをだれも理解できませんでした。夜中に雨と霧のなか懐中電灯をてらしながらの富士登山、ぜんぜん楽しくありません。

9合目を過ぎ雲の上に出ると、突然満天の星空が広がり、東の空にオレンジ色の光が満ちてきます。しばらくすると雲海から朝日が静かに昇りはじめます。友人たちはその光景にしばらく呆然と見とれています。そしてなぜ富士山に登るのかその意味をなんとなく理解したようです。

このスケッチは北アルプス穂高岳山荘(長野県2983m)から常念岳をバックに朝日が昇る直前の様子を描いたものです。刻々と空の色は変化していきます。

365日毎日繰り返されているのですが山の上からの日の出はとても荘厳な気持ちになります。日本人のご来光好きが、もとは修験道などの古代の山岳信仰と太陽神アマテラス崇拝がその根っこにあるという認識は最近までまったくありませんでした。。。なるほど日本は太陽神と女神信仰の国だったんですね。