夏目漱石の夢十夜はとても魅力的な短編集です。第八夜の床屋のはなしはお気に入りです。散髪椅子に腰掛けた主人公が鏡に映る通りの様子を描写したおはなしです。
「庄太郎が女を連れて通る。庄太郎はいつの間にかパナマの帽子を買って被っている。女もいつの間に拵らえたものやら。ちょっと解らない。双方とも得意のようであった。よく女の顔を見ようと思ううちに通り過ぎてしまった。」
どんな女性だったか気になりますが、この庄太郎の趣味が第十夜で紹介されています。
「庄太郎は町内一の好男子で、至極善良な正直者である。ただ一つの道楽がある。パナマの帽子を被って、夕方になると水菓子屋の店先へ腰をかけて、往来の女の顔を眺めている。そうしてしきりに感心している。そのほかにはこれと云うほどの特色もない。」
共感する趣味です。今日のスケッチはとくに意味はありませんが、しきりに関心した結果のものです。。。