2月から3月にかけて、関東地方の平野部でも雪が降ることがあります。雪は、日常の景色を別世界にしてしまいます。
朝起きて、異世界が目の前に広がったら、スケッチブックを持って探検です!
湧き水で稲作をしていたころの景色が広がる「谷戸(やと)」は、雪が降った後はとても神々しい景色に変わります。
雑木林の樹々を通りぬけた日差しが、静かに雪景色の田んぼに影を落とします。
林と水田の境目は、暗く何かが潜んでいそうです。
遠くでヤマゲラのドリリングの音が「ととととと」聞こえます。

北の谷戸がよみがえるまで
およそ20年前の2006年、ここは所沢市の一般産業廃棄物の最終処分場(埋立地)の候補地でした。
当時、米を作ることのできない田んぼや雑木林は価値がないと、産廃場になるケースは全国で多く見られました。
しかし、地元市民からの熱心な反対運動により計画は中止に。その後この谷戸を保全・活用するための活動が地道に続けられます
廃棄物処理場候補地がトトロの森に
最終的には「トトロの森ふるさと財団」が土地を取得します。財団の顧問は、スタジオジブリのアニメ監督の宮崎駿氏です。
50年前、子育て真っ最中の宮崎家が引っ越してきたのは、乱開発で里山の風景がどんどん失われる所沢。都内からきた夫妻にとって、まだ里山の風景の残る所沢の雑木林や谷戸が残っている風景は、創作活動と創造力を刺激するものでした。
「それでも、古い村の風情がそこかしこに残っていました。訪ね歩くとうっそうと樹の茂った小径や、真新しい千羽鶴のさがるお地蔵さまが辻々にありました。(中略)雑木林もまだ若く、新緑の頃の美しさは息をのむようでした。」(トトロのふるさと基金のあゆみ30年ートトロの森をつくるー合同出版社2020年)
西武線の所沢駅の発車サイン音には「となりのトトロ」のオープニングテーマが使われています。
現在、産廃候補地だった谷戸は「トトロ田んぼ」として、ヤマアカガエル、ニホンアカガエルの楽園となり、子供たちの稲作体験の場所にもなっています。
「トトロの森」は現在55か所まで広がっています。寄贈や買い取った「森」を「トトロのふるさと基金」とボランティアの人たちによって大切に運営管理されています。
おかげさまで、こんなにもすてきな風景をスケッチすることができました。場所は、駐車場が完備されていないのでアプローチが大変ですが、静かに谷戸の奥の田んぼと雑木林をながめていると、ほんとうに癒されます。ぜひ、みなさんも訪ねてみてください。

場所
北野の谷戸 MAP
トトロの森第7号地(北野の谷戸)詳細
YouTube動画 里山スケッチ

